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東京地方裁判所八王子支部 昭和50年(ワ)768号 判決 1976年3月31日

主文

被告は、原告ら各自に対し金一万六〇〇〇円およびうち金五〇〇〇円に対する昭和四八年一二月二〇日から、うち金一万一〇〇〇円に対する昭和四九年一一月二三日から、原告馬橋昌子に対し金九二万四八一七円およびうち金二四万五五五二円に対する昭和四八年一二月二〇日から、うち金六七万九二六五円に対する昭和四九年一一月二三日から、原告馬橋恵美子、同馬橋弘、同馬橋利行に対しそれぞれ金六一万六五四九円およびうち金一六万三七〇四円に対する昭和四八年一二月二〇日から、うち金四五万二八四五円に対する昭和四九年一一月二三日から、それぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

原告らのその余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は、第一項に限り、かりに執行できる。

事実

原告ら訴訟代理人は、「被告は原告らに対し二七九万〇四六四円およびうち二〇四万八八〇〇円に対しては昭和四九年一一月二三日から、うち七四万一六六四円に対しては昭和四八年一二月二〇日から、それぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決ならびに仮執行の宣言を求め、その請求原因として

一  第一次訴訟

(一)  本訴被告を原告とし、本訴原告らを被告とする東京地方裁判所八王子支部昭和四四年(ワ)第二四九号損害賠償請求事件で、本訴原告らは、昭和四五年一二月一四日、次のような主文の判決言渡を受けた。

「原告に対して被告馬橋恵美子、同馬橋弘、同馬橋利行はそれぞれ金三九三、七七八円、被告馬橋昌子は金五九〇、六六六円及び右各金員に対する昭和四四年四月三日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告らの負担とする。

この判決は原告が被告馬橋昌子に対して金一五〇、〇〇〇円その余の被告らに対して各金一〇〇、〇〇〇円の保証をたてたときは、仮りに執行することができる。」

(二)  本訴原告らは、右判決を不服として控訴を提起した(東京高等裁判所昭和四六年(ネ)第九三号)。

一方、本訴被告は、右事件が控訴審に係属中、一審判決の仮執行宣言に基づき、本訴原告ら共有の土地建物に対し東京地方裁判所八王子支部に強制競売を申立て(昭和四七年(ヌ)第二一号)、同年三月三日、その開始決定を得て、右土地建物を差押えた。

そこで、本訴原告らは、右強制執行を免れるため、同年三月三一日、東京法務局八王子支局に、右判決で支払を命じられた元本および遅延損害金、ならびに執行費用として二〇四万八八〇〇円を供託したところ、本訴被告は、同年四月一〇日、右供託金の払渡しを受けた。

(三)  しかるに、東京高等裁判所は、昭和四九年一一月二一日、右控訴事件について、本訴被告の請求を実体法上理由がないものとして、次のような主文の判決を言渡し、かくして、一審の仮執行宣言は失効した。

「原判決を取消す。

被控訴人の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」

なお、右事件は、本訴被告が右判決を不服として上告を申立て、現在上告審に係属中である。

二  第二次訴訟

(一)  本訴被告を原告とし、本訴原告らを被告とする東京地方裁判所八王子支部昭和四五年(ワ)第二七一号損害賠償請求事件で、本訴原告らは、昭和四七年一月二六日、次のような主文の判決言渡を受けた。

「原告に対し被告馬橋恵美子、同馬橋弘、同馬橋利行は各自金一四四、四四五円、被告馬橋昌子は金二一六、六六五円及びそれぞれこれに対する昭和四四年一〇月八日から完済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

訴訟費用は被告らの負担とする。

この判決は、原告において被告馬橋美恵子、同馬橋弘、同馬橋利行に対し各金三〇、〇〇〇円、被告馬橋昌子に対し金七〇、〇〇〇円の担保を供するときは、仮に執行することができる。」

(二)  本訴原告らは、右判決を不服として控訴を提起した(東京高等裁判所昭和四七年(ネ)第三一三号)。

一方、本訴被告は、右事件が控訴審に係属中、一審判決の仮執行宣言に基づき、本訴原告ら共有の前記土地建物に対し東京地方裁判所八王子支部に強制競売を申立て(昭和四七年(ヌ)第四一号)、同年四月二一日、その開始決定を得て、右土地建物を差押えた。

そこで、本訴原告らは、右強制執行を免れるため、同年五月二九日、東京法務局八王子支局に、右判決で支払を命じられた元本および遅延損害金ならびに執行費用として七四万一六六四円を供託したところ、本訴被告は、同年六月六日、右供託金の払渡しを受けた。

(三)  しかるに、東京高等裁判所は、昭和四八年一一月二八日右控訴事件について、本訴被告の請求を実体法上理由がないものとして、次のような主文の判決を言渡し、かくして、一審の仮執行宣言は失効した。

「原判決を取消す。

被控訴人の請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」

なお、右事件は、本訴被告が右判決を不服として上告を申立てたが、昭和五〇年六月二七日、上告棄却の判決言渡がなされて終結した。

三  結論

よつて、原告らは被告に対し、民事訴訟法一九八条二項により、被告が払渡しを受けた供託金合計二七九万〇四六四円およびうち第一次訴訟分二〇四万八八〇〇円に対しては原告らが被告に書面でその請求をした日である昭和四九年一一月二三日から、うち第二次訴訟分七四万一六六四円に対しては前同様書面でその請求をした日である昭和四八年一二月二〇日から、それぞれ支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

と述べ、被告主張の抗弁に対する答弁として

一は認める。

二、三は否認する。

四は認める。

と述べた。(証拠関係省略)

被告訴訟代理人は、「原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求め、請求原因に対する答弁として

一の(一)、二の(一)は認める。

一の(二)、二の(二)は、供託の理由を除いて認める。仮執行宣言による執行は、民事訴訟法五一一条に基づく執行停止手続で停止を求めるべきであるところ、原告らは、各一審判決で支払を命じられ金員を任意に弁済供託をしたのであるから、被告に対しその返還を請求することはできない。

一の(三)、二の(三)は認める。

と述べ、抗弁として

一  被告は、昭和四一年一〇月ころ、訴外亡馬橋春海に対し、農地買付けの斡旋を依頼した。

二  春海は、右契約の受任者として、被告に対し、所有者の売り値で売買を仲介斡旋すべき義務があるにもかかわらず、これに違反し、不当な中間利益を得るため、所有者から自らが農地を買受けたうえ、その取得価格より高額の自己の売り値があたかも所有者の売り値である如く装い、所有者の署名を偽造するなどして、これとの間に被告が直接売買契約を締結したような契約書を作成し、よつて被告において支出すべからざる支出をなさしめた。

三  しかして、被告は、春海の右債務不履行により、別紙損害目録記載のとおり合計二四二万二〇〇〇円の損害を受けた。

四  原告馬橋昌子は春海の妻、その余の原告らは春海の子であるところ、春海は昭和四二年六月一一日死亡した。

五  そこで、被告は、昭和五〇年一一月一四日の本件口頭弁論期日において、右損害賠償請求権をもつて、原告らの本訴債権とその対当額において相殺する旨の意思表示をした。

と述べた。(証拠関係省略)

(別紙)

損害目録

<省略>

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